切子

付け足


宙吹きガラスでも型吹きガラスでも同じことですが、カップ部ができた所に、足をつけてワイングラスの形にする場合の足の付け方です。
足の付け方には、付け足という方法と引き足という方法とがありまが、ここでは付け足について説明します。
付け足の方法にもいくつかありますが、大別すると二種類になります。
第一の方法は、細長い足の部分をステムと言いますが、このステムを部品として別に作っておいてカップ部に溶着する付け足方法です。
第二の方法は、カップ部の先端に新しく種を付けて、その種を引き伸ばしてステムを作っていく方法です。
細く、背の高い形状のグラスに切子細工を施し、江戸切子や薩摩切子にするのは珍しい方ですが、その理由を筆者なりに考えますと、おそらく、江戸切子のようにするのには切子細工の工程での取り回しがやっかいでコストUPするためではないかと思います。また、薩摩切子のようにする場合、江戸切子と同じ理由も考えられますが、製品のバランスも問題になるような気がします。薩摩切子は江戸切子よりも着色層の厚みが厚く、上部の重量が大きくなってくるからです。そのため、切子細工における取り回しの問題のほかに、作品としてのバランスが問題になってくるのかもしれないと思います。
本題に戻りますが、第二の付け足方法は、引き足の方法とほとんど変わりがありません。ただ大きく違うのは、ステムの材料が新しく付けられた種でできているか、カップの先端を延ばした材料で出来ているかの違いがあります。
この第二の付け足方法の工程は、引き足の項がご参考になるかと思います。
第一の付け足方法、すなわち部品としてステムを作っておく方法についてみてみます。
宙吹きガラスや型吹きガラスで、吹き竿で吹いたステム部品をカップに溶着することにより、完成品のステムを中空にすることが出来ます。
また、部品として作っておくのですから、ステムを白鳥や、イルカ、龍などの動物にしたり、植物の形にしたり色々の形にすることができます。
フット部の作り方は色々あります。
引き足の項では遠心力を利用した広げ方を紹介しましたが、そのほかに、ブローした球を溶着してからその球を切断して広げる方法もあります。この方法は薄いフットを作るのには適しています。
ステム付きのグラスに彫刻を施す例としては、エッチングやサンドブラストなどがあります。これらは切子細工とは違い、複雑な模様でも彫刻することが容易です。ただ、これも筆者の感覚ですが、切子細工のような輝きは少し少なくなっているように感じます。

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