型の材料と作り
型吹きガラスの型はどのような材料で作るのがいいのでしょうか。
勿論大量生産用に使われる耐久性のある金型が良いのかもしれませんが、芸術性のある作品を1個作るとなればまた話は別になります。
型吹きガラスも基本は宙吹きだといっても間違いではありませんが、宙吹きでは作りえない形の作品を型吹きガラスで作ることも出来ますから、作家によっては型こそ命だと考える方があってもおかしくありません。
しかし宙吹きではなにもできないのでは、型吹きガラスでも吹けないでしょう。そういう意味では宙吹きガラスの技術は基本的にマスターしておかないといけません。
その技術があってこそ、面白い表現ができることもあるかと思います。
型吹きガラスなら万能と言うわけではありません。江戸切子のあのすがすがしい模様は、切子細工でしか出すことが出来ません。透明硝子の上に着色硝子を付けた2重構造になっており、外側の着色層から内側の透明層までダイヤモンドホイールなどで切子細工をすることで、あの江戸切子のすっきりした線が彫りだされるのです。
型吹きの方法で作ったたとえばグラスなどの完成品を、切子工場に送り込んで切子にする場合が多くあります。江戸切子や薩摩切子の切子工場はたいてい別の建物になっています。
2重になっているのは薩摩切子も江戸切子と同じことです。ただ着色層の厚みが厚く、切子にしたときぼかしにすることが出来ます。
同じものをある程度の数作らなければならない場合で、シンプルな形の場合は木型を使います。大抵は2つ割にします。木型で作る型吹きガラスは、ガラスの肌が綺麗になります。
大量生産している工場では金型を使いますが、もうこうなると機械化された全自動設備と考えた方がいいかもしれません。
中程度の数、数百個という場合は、耐火物や粘度などが使われます。
しかし芸術作品を作ろうとしている作家の場合、数を作ることが目的ではなく、その形を作り出すために型吹きガラスが必要なわけですので、よく石膏が使われます。2つ割などいくつかに分割します。
例えば木そのものを石膏で型をとって、その中にガラスを吹き込むなどという石膏型にする場合もあります。
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