切子

最初の宙吹きガラス


宙吹きガラス技法の発明はシリア地方と考えられていますが、その最初のものはエルサレムのユダヤ人居住区の出土品に見られます。
宙吹き技法によって作られた最古の製品は、死海の西にあるエンゲディ遺跡から出土した小瓶です。
イタリアでも宙吹き技法によって作られた小瓶が出土しており、宙吹きガラスの技法が急速に西の方にまで伝わっていったことが分かります。
宙吹き技法と言うのは本当に偉大な発明なのです。この方法が知られる前は、容器として中を空洞にすることが大変だったのです。中型を作っておいて後でそれを掻き出したりしていたのです。現在に至るまで2000年も経っているのですが、宙吹き技法は今でも盛んに使われています。切子のグラスは宙吹きガラスの素材にダイヤモンドホイールで切子細工して作られます。江戸切子や薩摩切子になりますし、創作の切子も作られます。切子にしないグラスは数え切れないほどです。
江戸切子は日本で始めてヤスリなどの切子細工で作られた切子です。その伝統が今でも続いているのです。薩摩でも切子細工が始められますが色々の事情によって途絶えてしまいました。しかし薩摩切子で育てられた着色ガラスを用いる方法は江戸切子に伝えられました。
このような製品としてあるものは吹き技法の発展と伝承の結果ですが、発展する前の、本当に発明されたときの宙吹き技法はどのようなものだったのでしょうか。
それを知る最も有力な証拠は、エルサレムのユダヤ人居住区からの出土品です。このガラス管は一端を閉じて膨らませてあったのです。
最初期の宙吹きガラス技法は、現在のように金属パイプの先端に付けて膨らませるのではなく、管そのものの一端を溶融して膨らませていたのです。
この技法を共棹と言います。
西方に伝わった宙吹き技法は、イタリア地方で更に発展したことが、ポンペイやヘルクラネウムから出土する色々な製品に現れています。
西暦79年にヴィスヴィオス火山が大噴火を起し、人々の暮らしを一瞬にして灰のなかに埋もれさせてしまいました。
このため、墓の中に埋葬する特別なものと違って、人々の日常使用の製品をその中に見ることが出来ます。
例えばポンペイ市では、壷が250点、コップ30点、皿4点などが見つけられています。
その他にも多数出土しており、100種類を超えると言われています。
これらの製品は、豪華な装飾を施されたものから、やや青みを帯びた透明の日用雑貨まで幅広くあります。
シリア地方はローマになりますが、ローマの文化は驚くほど高度だったのです。宙吹きガラスから切子細工まで作られていたのですから驚きです。
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