切子

宙吹きガラスの道具(続)


宙吹きガラスを作る道具は簡単なものだけです。前項の続きで紹介します。江戸切子や薩摩切子の素材を作るのための宙吹きガラスにもこれらが使われます。切子細工は別工場でまったく別の道具で行われます。

紙ゴテ
特に宙吹きガラスの場合によく使われますが、宙吹きガラスを作るとき、口を広げるのによく使います。木の棒に、新聞紙を巻いた物です。
紙リンと同じで水に浸してから使いますが、手のひらで持つか木の芯が入っているかの違いです。
紙ゴテは、主にタンブラー等の飲み口を広げるときなどに使います。 ハシで飲み口を広げたあと、仕上げにこの紙ゴテを使います。
 
はさみ
軟らかくなっているガラスは、はさみで切ることができます。
普通のはさみのようにちょっきんと切ります。
宙吹きガラスに使うはさみは大きく分けて2通りあります。一つは口切りバサミ、もう一つは種切りばさみです。
口切りばさみは、普通のはさみの形をしています。口きりはさみと言われるだけあって、その用途はピンサーで延ばされた飲み口となる部分を切る時に使います。
普通の植木用のハサミで代用しようと思えば出来ないことはありません。
種切りばさみはちょっと特徴的な形をしています。向き合っている刃が各々くの字をしています。
このため種ガラスをとってくるとき、4方向から刃が入れられるので、切り口が1点に集中する事です。

パドル
刃のない包丁のような形をしていますが、主に、宙吹きガラスでコップなどの底を作るときにその平面部を押し当てます。
木製と金属製があります。軟らかくした宙吹きガラスに、このパドルを軽く 当ててやると、すぐ平たくなります。
コップの底の部分は全くの平面ではありません。中央は周りよりも少し凹んでいます。これはポンテに移してから、垂直に立てれば重力でこのように凹んでくれます。
コップ形状のグラスは江戸切子の素材として一番多く用いられます。もちろん薩摩切子にも使われますが、江戸切子のほうが数が多いです。この江戸切子を作るとき、切子細工の最初の工程が割り出し線を描くことですが、もし、素材の底面がこのようになっていませんと、割り出し機に乗せたときガタつきが生じやすく、安定してくれません。
中央をへこませるのは安定させるのに都合がよいのです。

マーバー
ただの平らな金属製の板ですが低い作業台かと思うような格好をしています。
このマーバーは、宙吹きガラスや型吹きガラスの下玉の形を整えたりします。
また、マーバーの上にフリットと呼ばれる粒状の色ガラスを蒔いておき、吹き竿を回しながら巻き付けるときにも使います。
江戸切子は透明な層と着色層との2重になっているものが多いです。この2重層を作るのにもマーバーが使われることがあります。
着色フリットで行うのも一つの技法ですが、薄い煎餅のように延ばしたガラスをマーバーの上で巻きつけて、江戸切子用の2重層にすることもできます。

パファー
金属製の円錐形の傘に細いパイプを繋げた物です。
パイプの先端を吹くと、円錐形の傘の中心から空気が出てきます。
これを使うと、ポンテしたあとでも、ブローして膨らますことができます。

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