薩摩切子物語(影響) |
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薩摩切子 |
薩摩切子は主としてヨーロッパのカットグラスに範を取り、色被せの技法はボヘミアや乾隆ガラスから学んだものと考えられています。 現存する当時の薩摩の切子細工には、日本的な繊細さが見られます。 近年の研究によって、無色の薩摩切子(透きガラス)もあることがわかりました。区分も整理され、新たな品も発見されています。 色被せの薩摩の特徴として、特にその色の層の厚さがあり、これに大胆な切子細工を施す事によって色のグラデーションが生まれます。これが色被せ薩摩の特徴で「ぼかし」と呼ばれる細工方法です。 このような薩摩切子独特の細工が、職人の移動によって江戸切子にも影響を及ぼすようになります。江戸においても被せガラスのグラスが作られるようになったのです。 薩摩の着色層の厚みは厚いのですが、そこは江戸っ子気質なのでしょうか、ゴテゴテしないように、すっきり感を出したグラスが多く作られています。つまり、江戸では、着色層を薄くしたのです。 1985年(昭和60年)代に入ってから、現存する薩摩切子を観察して、薩摩切子の復刻が試みられました。 各地のガラス工場や細工職人、あるいは研究家等多くの人の協力もあって復刻に成功しました。 江戸切子は国としての伝統的工芸品に指定されていますが、薩摩切子の場合は技術が継続しておらず復刻であるために、国の伝統的工芸品には認定されません。 しかし平成元年、薩摩ガラス工芸に対して、鹿児島県伝統工芸品認定がなされています。 現在は、現存する古い薩摩切子を忠実に再現した復元物や復刻物が作られています。 その特徴を踏まえて新たなデザインや新たな色の細工が作られ、また独自の創作品も生産・販売されています。 後進の育成や展示会・デザインコンペ等への出品も行われていますし、また助成金による薩摩ビードロ工芸の支援や、NHK大河ドラマ「篤姫」のオープニングにも用いられるなど、広く知られるようになってきています。 |
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