切子

着色ガラス


薩摩切子のグラスは色被せになっています。透明なグラスの上に着色したガラスを被覆した2重ガラスのことを言いますが、それに細かな切子細工や大胆なカットを施しますと、そのグラスには切子独特の鮮やかなコントラストのある輝きが生まれます。
切子細工されたグラスは単に切子とも呼ばれます。切子細工はほとんどの場合、ダイヤモンドホイールで幾何学的模様を彫刻します。
日本における最初の切子細工は江戸時代に作られましたが、まだホイールがありませんでしたので、大変な手間ひまをかけてヤスリなどで細工したものです。その技法を基としている切子細工は江戸切子と呼ばれます。後に薩摩に伝わり、逆に江戸切子に薩摩切子の技法が伝わってきました。着色層を用いたのは薩摩切子です。
ガラスを着色するために着色剤を加えますが、溶解炉の中が酸化雰囲気か還元雰囲気かで同じ着色剤でも色が違ってきます。
炉の中に酸素がたくさんあれば「酸化雰囲気」、逆に酸素が少ない場合「還元雰囲気」と言います。
今回はごく一般的な酸化雰囲気の場合について記すことにします。還元雰囲気の場合はまた機会を改めて報告するつもりです。

着色剤発色
酸化コバルト鮮やかなインクブルーの青、瑠璃色
酸化銅いわゆる空色、スカイブルー、トルコブルー
酸化クロムグリーン色、 少し黄味を帯びた若草色
酸化ニッケル紫色(カリの多いガラス)、スモーク(ナトリウムの多いガラス)
酸化マンガン紫色、(カリの多いガラスの方が鮮やか)
酸化ネオジウムきれいな青色、(太陽光で見ると赤色帯びる)
酸化エルビウムきれいなピンク色
酸化セリウム薄い黄色(カナリア色)ただし酸化チタンも添加
酸化バナジウム酸化状態によって 黄色〜緑色

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