切子

江戸切子物語(三番掛け)



手間と時間をかけて宝石のように仕上げられる所に江戸切子の素晴らしさがあります。すべて手作業の細工です。
グラスや灰皿など切子細工の素材に、割り出し線を基に切子図案の基本線や基本となる面が彫りこまれます。
その後三番掛けと言って、荒削りで彫られた線や、面、交点などを見ながら微細な模様が彫られます。

江戸切子の模様はこの三番掛けで決まってしまいます。
最後の工程は磨きです。
切子細工の面が透き通って輝き、まるで宝石のように見えるようにするためには、この磨きが大切です。

荒削りは勿論ですが、三番引きにしても、ガラスを削ると言うことは、微視的に見た場合、その部分を破壊しているわけです。
グラスならグラスの表面を削るわけですから、すりガラス状になるのです。
ですから削られた所はすりガラスのように白くなってしまいます。
白くなると言うことは光が乱反射しているわけですから、いくら細工してもピカリと輝くことは決してありません。

グラスの表面を透明な透き通ったカット面にするためには、そのすりガラス状の表面を鏡のように滑らかにしなくてはなりません。
このための工程が砥石掛けです。
こんどはダイヤモンドのホイールではありません。すりガラス状になっているところを微視的に平たくするための砥石です。

そうして切子細工の最後は木でできている回転円盤に磨き粉を付けて磨いたり、バフという布で磨いたりします。
このようにしてガラス本来の持っている透明性を出しますと、宝石のように輝く江戸切子が完成するのです。
そのようなグラスは、見て楽しむと同時に、手に持った時の感触がまた格別なのです。
薩摩切子も同じことです。江戸切子と違うのは着色層の厚みや、ぼかしの存在などと、模様の大胆府は雑なところにあるくらいのものです。
これはうなづけることですが、江戸から薩摩に渡った細工職人が、薩摩のために改良を加えたものであり、本質的には同じなのです。

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