切子

江戸切子物語(荒削り)



切子細工は手間のかかる仕事です。
手間と時間をかけて宝石のように仕上げられる所に江戸切子の素晴らしさがあります。
割り出し線を基に、切子細工の基本線や基本となる面を彫りこみ、必要によっては磨きをかけておきます。
薩摩切子は着色層の厚みが厚く、ググッと深いカットを行ってぼかしを作ります。薩摩切子ならではの細工です。江戸切子ではそれは無理です。

荒削りが終わったら、いよいよ細工の細かなところを彫っていきます。
荒削りにしてもそうですが、彫るということは大抵の場合グラインダーの刃でカッティングするわけです。
下絵図案は描いてありませんから、割り出し線をたよりに、頭の中にある図案でスーッと削るのです。
一つ間違えば製品になりません。特にグラスなどは厚みが薄いですし、緊張の連続なのです。
新米の弟子はたいてい何か物音を立てます。ぶつけたり落としたり、音を立てますと気が散ります。つい、叱り付けてしまいます。
みな、そうやって育ってきたのです。
荒削りで彫られた線や、面、交点などを見ながら微細な細工模様を彫るのです。
これを三番掛けと言います。

江戸切子の模様はこの三番掛けで決まってしまいます。
でも、下絵は使いません。全く下絵はグラスや灰皿の面に書いてありません。グラスを手に取ったとき、おおっ!!と思わず見とれてしまうほどでなくてはなりません。
長年の匠の業というのでしょうか、それでいて素晴らしい模様になってくるのですから不思議です。
薩摩切子では、見た感じだけでなく、切子の細工面に触ったときのゴツゴツした感触も楽しまれます。

切子細工用の三番掛けのホイールは種類も多くありますが、荒削りのときよりは目の細かいものが使われます。

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