切子

江戸切子物語(図案)



切子細工は手間のかかる仕事です。
手間と時間をかけて宝石のように仕上げられる所に江戸切子の素晴らしさがあります。
最初に鉄製の割り出し機の上にグラスや灰皿などの素材製品を置いて、上下方向と円周方向に筆で白い線を書き込みます。

江戸切子の細工職人は切子の下絵図案を製品に書くことはしません。薩摩切子でもこのことは同じです。
頭の中にある図案をどの位置に彫るかを割り出し機で決めているだけです。
この割り出し線やその交点を基に、切子図案の基本線や基本となる面を彫りこみます。
ダイヤモンドホイールと言う回転する砥石で切子細工を行います。
これはダイヤモンドの粉を焼結したもので、刃の部分がV字型のものやU字型のもの、平型のものなど色々の種類が用意されています。
今でこそこのようなホイールでスーッスーッと削り出しますが、加賀久が日本で初めて作ったときは当然そのような道具はありませんから、ヤスリや金剛砂などでそれこそ手間暇かけて細工したのです。

彫りこんだ面はザラザラで白く不透明になっています。
ほとんどの場合はもう少し後の工程でまとめて磨きますが、この段階で磨いておくこともあります。 透明にするためには目の細かい砥石や磨き粉をつけた木の砥石などで磨きます。

江戸切子にはいくつかの種類があります。
江戸切子として開発された頃のものは、透明なガラスに浅い彫りを入れたものです。
次の時代には表面を着色したガラスを用いるようになりました。これは、彫りこんだところのみ透明になり模様が浮き立ちます。
砥石が改良されるようなってからは深く彫る事ができるようになりました。これは透明なグラスや灰皿などガラスの表面に深い彫りをいれたものになります。
着色ガラスを用いる被せガラスの技法は、実は薩摩切子から来ているのです。
薩摩藩は江戸から細工職人を招いて研究を重ね、2重ガラスにする技法を考え出しました。
しかし、薩摩で戦争などが起こったために途絶えてしまいました。薩摩の細工職人たちは江戸に行き、江戸切子にその技法を伝えたのです。

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