江戸切子物語(原材料)
日本における切子細工は、江戸時代の終わり頃、加賀久が金剛砂を用いてグラスの表面に彫刻で細工を施したのが始まりとされています。
明治に入ってまもなく、政府の本腰が入り、近代的な硝子生産が開始されました。
当時最先端の技術を持ったイギリスから、カットグラス技師・エマヌエル・ホープトマンを招いて技術導入が行われ、近代的な技法が確立されました。
また、一度薩摩に行った切子の技術は被せガラスの技術などを伴って江戸に帰ってきています。
このように江戸切子は江戸の硝子職人、薩摩切子廃絶に伴う技術の移転、そしてイギリスのカットグラス技術等が融合していったのと考えられます。
江戸切子の原材料は2種類あります。
クリスタルガラスとソーダ石灰ガラスです。
切子細工は、輝きがあり、カットしやすいクリスタルガラスで始められたのでしょうけれども、コスト的問題もあって、ソーダ石灰ガラスも使われるようになっています。
クリスタルガラスの主な成分は、珪石と鉛と炭酸カリです。
ソーダ石灰ガラスは、珪石、石灰、ソーダ灰です。
着色するためにはコバルトがよく使われますが、これは青色を作ります。
原材料と言えるかどうかわかりませんが、失敗したガラスを粉にしたカレットも混ぜられます。
薩摩切子はぼかしの技法が用いられますが、江戸切子の細工は厚みの薄い着色層をカットしてしまうことによってすがすがしい輝きを生み出しているのですが、このカレットを加えすぎると透明性が冴えなくなってきます。
江戸切子の始まりは透明なグラスに切子細工を施すものですから、当然カレットの加えすぎはよくありません。
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